〜じじいに抗議するの巻〜
細い、ほそ〜い、くねくねした山道を車で登り、龍門山の中央ルート登山口に到着したのがお昼12時。
「お弁当、先に食べたい!」というねえさんのささやかな願いは無視され登山を開始。お弁当は頂上までおあづけ。
「えっ(ーー;)、 ここ登んの?」と熟女。そう、狭く険しい登山道だったのだ。頂上までは約1時間。
昨夜は雨。つるつると滑る険しい道を歩く。柿、あけび、栗、きのこ・・・と秋の味覚が揃っている。
「おっ!これはいのししの跡や。」とじじい。土を踏み荒らした跡が随所に見られる。
いのししは夜出るそうなので、昼間は遭遇しないそうだ・・・。残念!?
頂上に行く前に、明神岩を見学する。ここで昼食後、岩登りをする予定。
「えっ〜!!」前方を行く熟女が叫んでいる。
もちろんねえさんは2人について行けず、かなり後方を歩いている。
やっと2人の追いつき明神岩に到着。 「えっ〜!!」とねえさんも叫ぶ。
大きな岩は、垂直に下降している。怖くて端まで行けないっ!断崖絶壁だ。
「じじいさん、ここで岩のぼりの練習するんですか?」
「うん、ここや。そやけど、今日はあっちの低い方でしょうか!」と隣の岩を指差す。
低いたって高い! 落ちたら最後だ。
「練習っていうから、2〜3メートルの岩やと思ってた!」と熟女とねえさんは猛抗議。
「そんなんで練習になるかっ!」と怒られる。
気を取り直して頂上へ。あと15分程だ。
頂上には、数組のハイカー達がお弁当を食べている。ねえさん達もお弁当を食べる。
もちろん、おにぎり持参である。格安、格安・・・!
頂上からは、紀の川周辺が見渡せ、またパラグライダーやハングライダーの鳥人間達が悠々と大空を舞っている。
「さあ、岩行くぞ!」とじじいに促され、明神岩に向う。
景色を楽しみ、お腹を満たし、もう帰ろうよ・・・。もういいよ・・・。
〜ねえさん宙吊りになるの巻〜
写真両端は明神岩。真ん中2枚はじじいの準備と講習会。
じじいに引っ張られ、明神岩に到着したのは2時前。隣の低い岩で準備を始める。
岩の随所には、ロッククライミング用の金具が埋め込まれている。
じじい、ハーネス(安全ベルト)を身体に着け、ヘルメットをかぶり、ロープを投げる。
準備をしながら、ねえさん達に説明しつつ、「ほな、見本みせるで〜!」と岩を下り始めた。
瞬く間に、下りていく。12〜3メートル下に着地できる場所がある。
どうやって上がってくるのかと思っていたら、岩の横に細く急な山道があった。
すぐに、ねえさん達のところに戻ってきたじじい。自分のハーネスを脱ぎ、ねえさんの身体に勝手に装着し始める!!
「イヤだ〜。バンジーだったら安全やけど、これは失敗したら最後や〜! 無理!」と抵抗したが、準備は終わった・・・。
「しゃあないなぁ。」と言いつつ、じじいは、自分の身体とねえさんの身体をロープで繋いでくれた。
そして、じじいの身体はロープで岩に埋め込まれた金具と繋いだ。 これでねえさんが滑り落ちても、じじいが引っ張りあげてくれる・・・ハズ!
「絶対に、何があっても右手はロープから離したらあかん!」と言われ、とうとう岩を下りだすねえさん。
最初の一歩が震える! しかし下りだすと怖くない!?
数人のハイカー達もねえさんの勇姿を見ている。
ちょっと気分がいいなぁ。 足を岩に垂直にして、ゆっくりと下りていく。
こうして順調に3分の2程下った。 ここでトラブル発生!!! ロープが絡まった!!!
降りることができない。宙吊り状態だ。
「じじいさ〜ん。ロープが絡まりました〜(>_<)。」と叫ぶねえさん。
たまたま、その辺りは岩と岩が重なった場所だった。少し足を延ばせば狭いが足をつけられる場所がある。
「足場確保せぇ〜!」と叫ぶじじい。ねえさんは必死で足をつける場所に移動し足を伸ばす。
足が岩につけれた。これで宙吊り状態は免れた。
「足、つきました〜。」と叫ぶねえさん。
「よし、ほなこのロープ外すでぇ〜!」とねえさんとじじいが繋がっていた愛のロープが外された。
これでねえさんはひとりだ。あぁ・・・どうするの(>_<)・・・。
*ご注意・・・よい大人のみなさんは、絶対に真似をしないでください! 適切な指導者の下、安全に十分に配慮し行いましょう。
〜ねえさんターザンになるの巻〜
「動いたらあかんで〜!」とじじいが叫び、岩の横の山道を下り、なんとか岩をつたいねえさんのもとへ到着。
ねえさん岩に蝉のように張り付いている。ミ〜ン、ミ〜ン、ミ〜ン・・・
じじいが絡まったロープをほどこうとして、ねえさんに「足上げろ!」とか、「手離せ!」とかいろいろ言うのだが、身体が硬直して思うように動かない。
なんとかほどき終わると、じじい、素手&素身体でひょいひょいひょいと残り4メートルほどの岩を下りる。
すごい!!! スパイダーマンだ。
「さあ、来い!」とじじいが下でロープの端を持ち待っていてくれる。
ねえさん、またまた下降を開始する。が・・・・
ここから先は足場が悪い。岩と岩が重なり、時たま空洞まである。空洞を避けなければいけない。
しかし運動神経ゼロのねえさん、空洞に足をつっこみバランスを崩し、ターザン状態になってしまった。
「きゃ〜〜〜!」と叫びながら、振り子になる。怖い! 止めて〜〜〜!
そして身体は木に激突し止まる。ふ〜!
下を見ると、ロープの端を持っていたじじいも一緒に飛んでいる。じじいは岩にぶつかり止まる。
「じ、じ、じじいさん、怪我、怪我してませんか〜?」
「おう!だいじょうぶや。」といたって平気。
気を取り直し、下降再開。無事着地。ほっ・・・。生きてる・・・。
じじいに身体をロープから外してもらい、山道を上がり熟女のもとへ戻る。
岩を下りているねえさんと、龍門山の景色。
〜熟女はロッククライミングがお好きの巻〜
上から一部始終を見ていた熟女。「わたしは、まだまだ生きたいっ!」と岩下りを断固拒否!
そりゃそうだ。宙吊りになり、ターザンになったねえさんを見て、行く人間はあまりいない・・・。
「ほな、こっち側!」と違う角度を指差すじじい。距離が少し短い。10メートルあるかないかだ。
それでも渋る熟女。とりあえずじじいが偵察に行く。またまたまた瞬く間に下りてしまった。
「途中、雨で岩がぬるぬるして滑りやすいとこあったわ〜。」といいながら熟女にハーネスを着けていく。
熟女とうとう決心した。ぶつぶつぶつ言いながら準備を始める! さすが〜熟女!
「さあ、行け!」とじじいの声がかかる。熟女、行こうとしてふと気付く!?
「じじいさん、ロープは?」と聞いている。
ねえさんとじじいを繋いでいた「愛のロープ」がないのだ・・・!!!
「あんたもいるんかいな〜!」と言いながらじじいは自分の身体と熟女の身体を「愛のロープ」で繋いでいく。
おとぼけじじいだ。まあ、熟女はねえさんと違い運動神経もいいし、体力もあるので心配ないのだ。
熟女、とうとう下降開始だ。「あれ〜? あんまり怖くない〜!」と叫んでいる。
順調に下降し、結構喜んでいる! 大成功に終わった・・・。面白くない・・・。
次はもう一度ねえさんだ。もうコリゴリゴリと思っていたのだが、ハーネスを着けてしまう。
「愛のロープ」を確認し、短いコースを下りる。2回目は身体がつらい!
「だいじょうぶかあ〜?」とじじいが聞くので、「腕が痛いです〜!」と答える。
すると「腕力はいらんのや! 痛いはずないわ〜!」と冷たく無視された・・・(-_-;)。
途中やはり、岩がぬるぬるぬるとしている場所がある。「足が滑ります〜(>_<)。」と叫ぶ。
「滑らんとこ行け!」とまた冷たく言われる。しかし今度はなんとか着地。ふぅ〜・・・。
そしてもう一度熟女! もう平気だ。短い方のコースを悠々と下る。
カメラに笑顔を向ける。この人はやはり鉄人だ。じじいも放っている。
「熟女さんも、最初はちょっと怖がらんと悪いと思たんやな〜。」とじじいがつぶやく。
こうしてみんな2回ずつ、懸垂下降の練習を無事終えた。大変貴重な体験であった。
〜これぞ格安旅行の巻〜
3時15分頃、下山を開始する。
昨夜の雨でつるつる滑るのでなかなか歩くのが難しい。
ねえさん、何度もこける。じじいは一度だけ、熟女は平気で歩く!
木につかまりながら歩くねえさんを、 「サルみたいや〜!」とバカにする(ーー;)。
かしわ餅の葉っぱを見つけ「これ、和菓子屋に持ってたら売れるで〜。」とじじい。
熟女、必死で採る!
じじいは、「マッタケないか〜?」と言いながら探している。
そして、おやつも確保しなければいけない。
普通なら下山すれば、どこかでお茶でも・・・となるのだが、そこはサバイバー2人組プラスおまけのねえさん!
おやつも山で調達するのだ。あけびをたくさん採る。もちろんサバイバー2人組が・・採る。ねえさん見てるだけ・・・。
こうして下山。もちろんねえさんは2人に置いていかれ、ひとり遅れてずるズルずる滑りながら戻る。
道に座り込みあけびを食べる。じじいと熟女には懐かしい果物であるが、ねえさんの子供の頃は食べることはなかった。
ちょっとグロテスクな食べ物。あまり美味しいものではないなぁ〜。
こうして今回の危険な旅はなんとか終わった。ふぅ・・・・。
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